発行元 三省堂
監修/編 NPO法人オンデマンド授業流通フォーラム 大学イノベーション研修会
四六版 / 216ページ / 定価1680円(本体1600円+税)
概要
大学改革が急務である。掛け声はあちこちからかかるものの、枠組みも体制も動きは極めて緩慢だ。社会的仕組みとしての大学は高等「教育」機関だが、多くの大学で、「研究ありき」から発想する、教える側の都合で組み立てられた教育が行なわれてきた。
一方で「地方、小規模、伝統がない」という三重苦を背負った大学は、その半数が定員割れを起こし廃学の危機に直面していると言われている。しかしこうした定員割れの3つの条件を満たしている大学のなかに、「地域に学ばせていただく」ことで学生を本気で育てる、ユニークな体制を持つ大学や大学コンソーシアムがある。
教育を教室のなかだけで完結しないこと、先生と生徒という仕組みのなかに学生を閉じ込めないこと、学生をとりまく地域や企業のあらゆる大人が「よってたかって」学生を育てること。こうした教育は、従来の知識を与えることを中心とする学校教育と大きく異なる。
学生の体験、失敗、発見、思考を育てることへ舵を切ることは、実は大学にとって大きな勇気を伴う、簡単でない決断である。そして、こうした手間暇かけたプロセスを経て「楽しく生きることのできる、すてきな大人に仕立て上がる」学生たちの大きな変化には、驚きを禁じ得ない。「勉強させられた」のでなく、「自ら楽しく学ぶ」しくみをどう作っていくのか、その難しい問いのひとつの答えが、本書にある。
本書は、「大学イノベーション研究会」が調査対象として抽出した全国46の大学のなかから、松本大学、共愛学園前橋国際大学の2大学と南大阪地域大学コンソーシアムに注目し、それを丁寧にひもときながら、新しい大学教育のデザインを紹介するものである。

目次抜粋
はじめに
田辺 孝二 東京工業大学大学院教授 イノベーション研究会委員長
松本大学の章
私たちが先生を利用してるんです
地域の教育力は「ある」、だが使うのは「大変だ」
地域ニーズは少量多品種生産
学生は地域の生産物、PL法で一緒に面倒見てください
先生には叱れない叱り方
学校で教えられることの限界
リヤカーで野菜を行商、「もったいない」プロジェクト
大きくしたら手放すビジネス
心の地域インフラ製造工房
しっかりした若者に自ら仕立て上がること
共愛学園前橋国際大学の章
ひとり一人が大学に「オーナーシップ」を持つ
給料が減っても不合格者を出し続ける
学生と一緒につくる大学
自分が成長することを楽しむ
学長や学部長が、いつでも研究室までやってくる
学校に来ると元気になる
いくらでも変われる、どんな自分にもなれる
人はどこにいるかではない、何をするかだ
大学への参加が、そのまま「学び」になる
役割分業のない大学は貪欲だ
大学の設計図が「ひとり一人」から描かれる大学
南大阪地域大学コンソーシアムの章
勉強ができる学生もできない学生も、到達レベルは同じである
大学のキャリア教育は学生のマインドセットを変えることだ
幼稚園児から大人まで、思考リテラシー教育の「やりかたはひとつ」
学生の学生による学生のための企業紹介 リンカーン マッチング プロジェクト
学生、「企業人」と出会う
仕事に誇りを持つ幸せをつかみたい
「就コレ」では同じプレゼンを16回繰り返す
仲間とコラボレーションできる人材を育てる
堺市とコンソーシアムのいい関係
コンソーシアムは未来へ伸びるバネだ
地域は大学に何をもたらすのか
友成 真一 早稲田大学理工学術院教授
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